自分はアプリゲームの新規プロジェクト開発をいくつか経験してきて、UIのグランドデザインに着手する際に意識している点があります。
まずは企画書と、すでに何割か進行している仕様書を読むのはもちろん、世界観設定もしっかり読み込みます。
その理由はキャラクターや背景、アイテムなどのイラスト素材以外で、ゲームで世界観設定を伝えるのはUIの役割の一部だと考えているため。
一時期「UIはキャラや背景などのビジュアルを邪魔しないシンプルなデザイン」が好まれる時期がありましたが、その時代は同じようなUIで溢れかえっていました。
webデザインでの流行からアプリゲームもフラットデザイン化へ
その当時はフラットデザインも真新しさはあったし、各社洗練されたビジュアルに落とし込んでいたので良かったのですが、それと同時に味気なさも感じていました。
例えばリトルノアやA3!など。ファンタジーからアドベンチャーゲームまで、さまざまなジャンルのアプリでフラットデザインを見ました。
自分も当時何度かそういったシンプルでフラットなUIを作ったりもしていたが、どうも題材に合わないケースが多々ありました。
結局は開発プロジェクトとの相性や方向性
何度かの改修やディレクター交代などの要因が重なり、最終的にしっかりと世界観を落とし込んだUIの制作を試み、それはもう納得のいく出来に仕上げることができました。
キャラや背景素材とうまく調和し、相互に世界観を補い合い、ゲームとしての空間を作り上げられるようなUI。
残念ながらリリースに至らずPJ開発は断念してしまいましたが、なかなかない経験でした。
深みのあるUIを作るのに必要なのは知識
話が脱線してしまいましたが、新規開発時のUIデザインのスタートはとにかくその分野の知識を得ることが重要です。
世界観を感じさせ、見た目にも惹きのあるUIを作り上げる際に、テーマに対する知識をどんどん取り入れていく必要あるということです。
とにかくネットで調べまくり、深みが出なそうなら本屋や図書館に行き、参考になる書籍を読み漁ります。
書籍を読み進めていて、UIのメインモチーフになる事象やモノが見つかると、どこにこのモチーフを採用しようかとワクワクすることもありました。
そして、新たな要素を追加するときも、モチーフの再調査によって説得力のある要素が加わり、世界観の解釈を広げることができます。
また、そう言った経緯で作り上げたUIには耐久性があります。
UIの耐久性
UIの耐久性とは、ゲームを継続的にプレイしていても飽きづらいUIのことです。
ツール系のアプリであればそこまで重要ではなく、見やすくシンプルで、目的達成までスムーズに操作できることが重要。
ですがゲームUIの場合、ユーザーを楽しませたり、感情を動かしたり、世界観を表現する1部分でもあるため飽きづらいUIという指標は重要です。
例えば『グランブルーファンタジー』や『スプラトゥーン』のUIは耐久性が高い。
『グランブルーファンタジー』はすでに10年以上運用を続けているタイトルですが、UIのビジュアルは今見ても高クオリティで、こだわりを持って作り込まれているのがわかります。
『スプラトゥーン』に関しても、ゲームシステムと世界観を構築するビジュアルに完全にマッチしており、完璧と言わざるを得ません。
世界観やこだわりを含むUIを構築すると
得た知識を取り入れて世界観を表現し、フックとなるギミックや調和の取れたこだわりのUIを組んだとします。
さらに魅力あるキャラクターや世界観、シナリオ、そして何度もプレイしたくなるゲームシステムが組み合わさった時、ユーザーはそのゲームのファンになります。
ファン化したユーザーはキャラやUIの細かい表現にまで考察を行い、他ユーザーと共有し合い話題性が生まれます。
こだわりがあり、作り込まれたUIにはそう言った力があると考えています。
UIデザイナーは時流の流行のデザインテイストをしっかり把握し、時に取り入れることも大事ではあるのですが、今開発しているプロジェクトにとって最良のデザイン設計を行うべきです。
キャラクターの絵を差し替えるだけで他のコンテンツでも使えるUIは量産するべきではありません。
それぞれのゲームの、固有の魅力を倍増するUIを作り上げていきましょう。