
ゲームクリエイターであれば、いくつかのゲームをプレイしてきた経験があると思います。
そして何時間も熱中し、やり込んだゲームが以降のゲーム制作に活きることが多々あります。
それは自身の思想になり、また他のクリエイターと作り上げる上での言語になります。
ゲーム開発中に「あのタイトルであればどうしていただろうか」みたいなものを考えた時に真っ先に頭の中に浮かんだりするイメージがわかりやすいでしょうか。
もちろん、開発タイトルのジャンルやテーマに合わせて上記以外のタイトルを思考の中心に据えたりすることは多いですが、ゲーム制作する上で自身の経験や記憶をもとに構築していくことに変わりないと思います。
ゲームをプレイする中で培われる思想と言語
例えば2Dロールプレイングゲームで、マップ上をプレイヤーが行き来し次の街へ移動するようなゲームをプレイした際に、最初は徒歩でしか移動できないが徐々に飛行船が解放されて移動速度や範囲が拡張されていく。
そう言った細かい具体的な内容でも自身が似たようなゲームを作る際に「序盤の移動ストレスを後半に一気に解放させる爽快感」が体験としてポジティブに記憶に残っていれば、最初からそれを意識して設計する。
別の例で音ゲーであれば音楽に合わせて特定のアクションをとる、その時にジャストのタイミングで行えば派手で気持ちの良いエフェクトが発生する。
自分で実際に作る時にもそれが体験として大事であれば初期段階で必要な要素として洗い出しておく。
など、自分が体験してきたゲームのポジティブな面もネガティブな面も合わせて「こうあるべき」みたいなものが思想として定着していきます。
これは何も思考を固定化するわけではなく、「今回のゲームでは、一般的にはこうあるべきという点を逆の発想で攻めてみよう」みたいな判断も必要に応じてできるわけです。
言語化するとどうなるか
また、そういった自身のゲームプレイが思想化できると他のゲームクリエイターのメンバーとの意思疎通で有効になります。
今作のゲーム製作では、あの有名なゲームのこの部分と相性が良いので取り入れようみたいな会話ができると、開発イメージが明確になり、認識のズレも起こりづらくなります。
組織でゲームを制作する上で重要なベンチマークという概念
ゲーム制作の思想と言語化が活きるケースが組織でゲームを制作する場合です。
新規でゲームを開発する上でベンチマークタイトル、いわゆる今作の開発する上で参考にするゲームタイトルを設定して制作を行うことがあるのですが、そこで重要なのが開発に関わる全てのメンバーがベンチマークタイトルを触ることです。
組織で開発する際に、そのベンチマークタイトルが共通言語となって制作を推進することになるからです。
開発中に、ディレクターやプランナーからこのタイトルのこの画面を参考に制作する、といった指示が出た場合、デザイナーもエンジニアも必要な要素や実装のイメージが格段にしやすくなり、スピード感も向上する。
そして何気ない会話でのやり取りでもスムーズに対応できる。
ベンチマークタイトルを触っていないメンバーがいると、全く同じレイアウト、見た目のデザインを挙げてしまったり、あるいは見当違いのものが出来上がったりすることもあります。
ベンチマークタイトルの言語化し参考にする際の注意点
ベンチマークタイトルを設定した際の注意点として、まるパクリしてしまうことのリスクです。
組織で言語化してうまく開発を推進できたとしても、似たレイアウトだったり著しく体験が寄ってしまうと良くないし炎上する可能性もあります。
その際に重要なのが参考にするポイントの抽象化です。
細かい点の具体的な内容を取り入れてしまうとパクリになるリスクが高まる。
例えばスプラトゥーンのような陣取りゲームを参考にゲームを開発するとして、「インクを塗って陣地を広げていく」を取り入れてしまうとパクリになります。
ですが「プレイヤーから発する要素を用いて陣地を広げる」部分を参考にして、
「さまざまな形のブロックを空から降らせて陣地を広げる。敵のブロックは自分のブロックを空からぶつけて破壊できる。ブロックの高さも陣地の判定として取り入れる」のような別のアプローチから攻めることでうまく参考にすることができます。
リザルト画面で「スプラトゥーンの俯瞰から最終結果を確認する」などの具体的な要素を参考にする、その際にレイアウトを「ブロックの高さも確認できるような表示に調整する」など独自性のある調整を行うことでベンチマークタイトルを参考にしつつそう思わせない工夫を取り入れられます。
ゲームクリエイターは思想や言語化のためにゲームをプレイするべき
ゲームクリエイターであれば、とにかくゲームをやりこんで思想や言語を広げるべきです。
それは一般的に「引き出し」と呼ばれるものですが、自分の中で体験を言語化して、アウトプットして自分の思想としていくことで際立った個性になる可能性があります。
数ある中で自分が作ったゲームを手に取ってもらうための武器になり、組織で一つのものを作る際の化学反応に必要な重要なピースになります。
自分のゲーム制作における重要な体験がないのであれば、新しいゲームに片っ端から触れてみたり、昔プレイしたゲームを引っ張り出して遊んでみると、今後の自身のゲーム制作の指針ができるかもしれません。