皆さんは普段プレイしているゲームやその最中、没入できるゲームや、没入しちゃうタイミングはありますか?
ゲームを制作している中で「没入感」について考えることが多々あり、今回はその「没入感」について考察していきます。
そもそも「没入感」とは何?
一般的な没入感の定義とは、「映像や音に熱中して、まるでその世界に入ったような感覚のこと」です。
例えば映画やドラマなどの映像作品で、画面内の世界に自分が入り込んで、もしくは登場人物に感情移入してシチュエーションに対して臨場感を味わっているような感じでしょうか。
ゲームでは映像として視認するだけでなく、プレイヤーとして操作するため、より没入感に浸りやすいコンテンツといえます。
ゲームにおける没入感
では、ゲームをプレイで没入している時とはどのような状態か、を整理してみましょう。
個人的にゲームに没入している状態とは、「ゲームのプレイに集中し、その他のことに意識が向いていない状態」のこと。
例えば、マリオカートをプレイしている時、「今自分の順位はどれくらいか」「どうコースを取ったら効率よくコインやアイテムを拾えるか」「後ろに誰がいる」「障害物をどう避ける」など、ゲーム内の事象で考えることが多く没頭してしまう状態。

マリオカート8 デラックス 公式から引用
ツムツムであれば、「どう繋げばスキルゲージを貯められるか」「残り時間はどれくらいか」「もう直ぐスキル溜まりそうだけど、フィーバー終わりそう」など。

ツムツム公式より引用
よくよく考えてみると、映画でも没入している時って時計を見ることなく、時間を忘れて集中して観てしまっていたり、さらに例えると焼き物を作るときに無心で土を捏ねているなど、今目の前の行動に集中しきっている時です。
逆のパターンで、映画でも間が良くないシーンとかだと集中力が切れて没入しているモードから外れてしまったりしますよね。そこにクリエイティブの難しさが潜んでいるとも言えますが。
とにかく、ゲームにおける没入感は、他のことを考えることなく集中している状態です。
ゲーム制作で議題に上がる没入感とは
ゲームプレイにおける没入感をまとめてみましたが、ゲーム制作で議題に上がる没入感はどちらかというと「その世界に入り込んでいるか」というビジュアルの没入感が多いです。
例えば3Dを用いたハイクオリティのビジュアルで構成されたオープンワールドが分かりやすいと思います。
となると、前者と後者でそれぞれ、「感情的没入感」「視覚的没入感」に分けて考えていった方が良いのではないでしょうか。
「感情的没入感」と「視覚的没入感」
それぞれ、以下で定義してみます。
感情的没入感:ゲームプレイに集中し、その他のことに意識が向かない状態
視覚的没入感:ゲームの世界観に入り込んだような視覚効果
感情的没入感と視覚的没入感の両立
「感情的没入感」と「視覚的没入感」の関係性は、両方有することもあるし、片方だけの場合もあります。
「感情的没入感」と「視覚的没入感」を両方有している最もわかりやすい例は、バイオハザードのVRでしょうか。

バイオハザード ヴィレッジ 公式から引用
こんな世界にVRのゴーグルをつけて入り込んでしまったら、感情の没入と視覚的な没入感がMAXまで引き上がるでしょう・・・(怖い)
一方、以前巨大パラボラアンテナの周りを周回するというVR体験をしてみたことがありますが、こちらは視覚的な没入感はありますが特に感情が動くことは残念ながら少なかったです。
VRゲームはそう簡単に作れるわけではないので・・・
究極の没入感を目指すのであれば、VRが最も良いと考えていますが、デベロッパーでも、さらには個人制作者であればさらにハードルは高い。
ので、実際は感情的没入感にフォーカスを当てて制作していくのが良いでしょう。
没入感とUIの関係
ここでちょっと本業のUIデザインとのエピソードですが、以前いたプロジェクトで「UIの主張が強くなると没入感が薄れるので、極力減らしたい」という意見がありました。
その意見自体、というよりも極力UIが画面に占める範囲が少ない方が良い場面が多いのは頷けます。
ですが、感情的没入感と視覚的没入感をごっちゃにしていたのではないか、と最近思うことがあります。
ゲーム性や演出などが適切であれば、UIがあってもなくても集中してプレイするための体験は提供できます。
よって今後はプロジェクトがどの没入感にフォーカスして作り上げていくかを意識していく必要があります。
まとめ:適切な没入感を意識し、設計しよう
組織ゲームを作る、もしくは個人での自主制作ゲームであるにしても、制作する際に意識するべき没入感を明確にして作り上げることで、よりプレイヤーが熱中できるプロダクトを作り上げることができます。
没入できるゲームは繰り返しプレイする耐久性も秘めている可能性が高いので、プレイヤーが何度も何度もプレイしてファン化する力もあるでしょう。
これからもプレイヤーの熱中する姿を夢見て開発をしていきましょう!